修繕計画策定に関するご質問
大規模修繕工事の必要性を教えてください
建物は雨、風、太陽、雪から人を守っています。人が年を取れば定期的に健康診断が必要になるのと同じで建物もメンテナンスが必要になります。
照明、排水設備や各部材も同様にメンテナンスが必要になります。建物の性能や機能を維持するためには、日常管理と大規模修繕などを適切な時期に実施する必要があります。
大規模修繕工事の施工内容を教えてください
大規模修繕で施工する工事は
- 外壁、通路、バルコニー、屋上の高圧洗浄
- 外壁補修工事
- 外壁打診調査を実施して塗装下地・タイル下地の浮きや爆裂、欠損箇所の補修工事
- 塗装工事 (外壁、配管、パーテーション、外構部、鉄部)
- 防水工事 (屋上・バルコニー・庇、天端、階段、通路)
- シーリング工事(外壁目地、サッシ廻り、器具廻り、FIXガラス廻り)
- 配管金物等の交換工事
- 仮設工事(足場工事・防犯仮設・養生仮設・仮設水洗・工事事務所設置・産廃置き場)
- 照明器具交換工事
大規模修繕工事を実施する時期を教えてください
建設されて10~15年で最初の大規模修繕工事を実施する事をお勧めいたします。
大規模修繕計画について教えてください
美観を含めて建物の資産価値を保つことが修繕計画です。建物資産価値を守る内容、時期、費用を事前に計画することが大規模修繕計画です。
大規模修繕工事の計画方法を教えてください
ビル、マンションオーナー様やマンション管理組合様は修繕委員会や修繕計画を設立して予算を決めていただく必要があります。計画(施工時期含む)、大規模修繕調整依頼、見積依頼、施工業者選定をして検討、承認をいただく必要があります。
修繕積立金の設定方法を教えてください
分譲マンションの場合、国土交通省ガイドラインでは大規模修繕積立金の額は計画期間の推定修繕工事費の累計額を計画期間で割り各戸の右端額に掛けて算定することになっています。なお、修繕積立金は、通常、マンション分譲時に分譲事業者から長期修繕計画とともにマンションの世帯数や積立金額などを将来のために金額設定をすることが重要になります。
修繕計画や積立金の見直し時期を教えてください
おおよそ5年に1度、建物の調査・診断を実施し、社会的な変化や建物の状態に応じて調査を実施し、見直しを行うことが推奨されます。
積立金が不足している場合どうすれば良いか教えてください
修繕計画を見直し、工事を縮小する方法と資金を臨時調達する方法があります。資金の臨時調達には一時金の徴収、借入れ、積立金増額、大規模修繕の延期等の方法があります。
修繕委員会のメリットを教えてください
管理組合の理事は任期が1~2年と短い為、別途修繕委員会を設置する事により工事の綿密な管理を継続的に行う事ができます。
修繕工事の回数による違いを教えてください
建物や立地環境により変わりますが、施工の一般的な内容は下記の通りです。
- 第1回目
主な工事項目は、外壁改修、階段、廊下、バルコニーなどの床防水、鉄部塗装などが想定されます。(屋上防水は劣化状況に応じて行います) - 第2回目
第1回目の外壁工事で実施した工事のほか、劣化状況により金物や設備機器などの取替えなどを行います。1回目で屋上防水を部分補修とした場合は、2回目で全面施工することもあります。居住者様のニーズに合わせ、エントランスホールや集会室などのリニューアル工事を実施致します。 - 第3回目
外壁塗装は重ね塗りが可能か調べ、劣化状況によっては全面剥離・塗替えを行います。また、外壁がタイルの場合は、浮きや剥離に注意し、目地の劣化対策を行い、状況により張り替えを行います。
建物の調査・診断について教えてください
建物の劣化状況を調べ(物理的劣化、機能的劣化、社会的劣化)必要な工事内容や時期、予算などを評価するための診断・点検です。
修繕工事を行う時期はいつが良いか教えてください
気候が安定している2~5月、9~11月に実施するのがベストといえます。天候による仕上がりの影響が少ない為、効率良く、安定して塗装や防水作業を行う事ができます。
また、防水工事等によりエアコンの使用制限がかかる場合がある為、エアコンの使用頻度が少ない時期をお勧め致します。冬期や梅雨時期の他、夏季はお子様方の長期休暇を含む為、安全上の配慮から避けた方がより良いです。しかし、建物の規模や工事の内容により工事期間が梅雨や夏に差し掛かってしまう場合があります。
その場合でも、足場の工事や内部など気候の影響が少ない工種を選ぶなど、状況に応じた施工を行いますのでご安心ください。
大規模修繕工事の発注方式について教えてください
- 設計監理方式
設計はコンサルタント(設計事務所など)、施工は別の施工会社が担当する設計と施工を完全に分離した方式です。 - 責任施工方式
施工会社が設計から施工まで全部担当する方式です。
大規模修繕工事におけるコンサルタントの役割を教えてください
建物の調査・診断、修繕内容の決定、業者の選定等工事の「計画〜完成」までを専門的にサポートし、管理組合やビルオーナ―様の負担を大幅に軽減する事ができます。
予備費について教えてください
予期せぬ追加工事等に備える為の資金であり、一般的に工事費の5~10%の金額を予備費として計上している管理組合様が多いです。
実数精算と実費精算の違いについて教えてください
- 実数精算
施工数量の増減により精算することで、外壁のひび割れや浮きなど、遠方からの目視では確認できない部分に適用されることが多いです。 - 実費精算
数量だけでなく施工仕様変更をともなった「設計変更」によって精算することです。この場合、変更工事をおこなう前に、管理組合様・設計者に承諾を得ます。
施工会社によって見積金額が異なる理由を教えてください
建物の形状・規模・立地、使用する仕上げ材、設備の仕様に左右されます。超高層マンションや複雑な形状の建物では割高になりがちです。また、資材のグレードによっても修繕工事費は変動します。
相見積もり時の選定の流れを教えてください
見積り参加希望会社を募り、提出された見積もり書・施工計画書等を比較検討して選定する方式です。書類・見積り選考だけでなく、面談も行うとよりよいでしょう。
各社の資料を精査する際のポイントを教えてください
設計監理方式の場合、各社から提出された見積の一覧表で単価の水準を確認します。工種別の金額を算定しているので、単価水準だけでなく集計金額にも目を向け評価していきます。
プレゼンテーション時の見るべきポイントを教えてください
適正な見積り金額である事に加え、その会社の大規模修繕工事の実績と施工管理・安全管理・品質管理の体制、現場代理人の能力や経験に着目する事が大切です。資格を保有している事は当然ですが、コミュニケーション能力も重要なポイントとなります。
マンション大規模修繕工事の費用対効果を高めるためのポイントを教えてください
国土交通省が示しているガイドラインによれば、大規模修繕の対象となる工事項目は、おおよそ20項目にも及びます。これらの工事は個別に実施するよりも、まとめて行うことで費用や工期の面で大きなメリットが得られるのが一般的です。
特に、足場を設置する直接仮設工事は、1戸あたり9万~15万円ほどの費用がかかるため、足場を必要とする工事はできる限り同時に実施し、効率よく進めることが重要です。
工事着工前に関するご質問
施工会社が決まった後の流れを教えてください
施工業者の正式決定後、弊社と工事請負契約を締結致します。その際、工事費用の支払い条件や保証条件などをお互い確認致します。 そして、工事着工の1~2週間前に「居住者説明会」を開催し、居住者の皆様に工事内容の説明を行います。
工事着工前の居住者説明会の内容を教えてください
大規模修繕工事はビル利用者、店舗に出入りされるお客様、マンションにお住いの入居様が住まわれる中での施工のため皆様へ工事の内容と施工手順をご説明させていただき、ご理解とご協力いただく必要があります。
事前に工事の内容・注意すべき点などをお伝えする大規模修繕説明会を実施させていただきます。
- 洗濯可能日
- 高圧洗浄実施日
- 安全区画の確保、作業エリア立ち入り禁止のご説明
- 塗装、シール施工時の接触注意喚起
- 専有部分(バルコニー)内の工事説明
- 作業時間の説明
- 臭気について
- 作業員マナーの共有
- 整理整頓・清掃活動の共有
- 工事体制図のご説明(緊急連絡先含む)
工事中発生する可能性がある問題について教えてください
以下のような事例がございます。
- 調査時には判明しなかった重度劣化(当初予定の工法では修繕できない場合は新規工法で対応致します)
- 居住者様からの苦情(臭い、騒音、塗料汚れなど)
- 天候による工事遅れ(工期延長の検討)
- 実数精算工事の費用算出(下地補修費用など)
- 仕様変更が生じた場合の内容、費用検討(予定仕様が合わなかった場合)
工事期間中の生活に関するご質問
足場を設置した時の防犯対策について教えてください
足場周囲への防犯カメラ、防犯灯の設置に加え、作業終了時の施錠や1階部分に金網を設置し侵入を防ぎます。また、各戸に窓の補助錠などの防犯用品を無償で貸し出し致します。
足場を覆うシートで暗くなってしまうか教えてください
多少の陰になることはありますが、足場を覆うシートはメッシュ状になっていまので、真っ暗な日陰になる事はございませんのでご安心ください。
工事中洗濯物や布団は干す事ができるか教えてください
エントランス掲示板等でお知らせいたします。
工事中不在にしてはいけない日があるか教えてください
玄関扉の枠を塗装する際に、在宅していただく必要があります。玄関扉の枠塗装は、扉を開けていただかないと塗装ができない為、塗料が乾燥するまで、数時間扉を開けておく必要がございます。この工事の日程は、事前に工事担当者から配布資料などによりご連絡致します。
作業員が家の中を通るか教えてください
建物の外部全体に足場を組立てますので、作業員はその足場からバルコニーにお邪魔しバルコニー防水工事を行います。その為、部屋の中を通ってバルコニーに入ることはありません。なお、工事中は、外部の足場を作業員が通ることがあります。そのため、薄いカーテン等を閉めていただけたらと存じます。
バルコニーに置いてある植木や人工芝はどうすればよいか教えてください
塗装や防水工事の際、バルコニーには何も置けなくなりますので工事の支障となるものは事前に一時撤去をお願い致します。足場組立工事終了後に、工事担当者がバルコニーの状態を調査し、各戸にご案内を致します。
バルコニーにでられない期間を教えてください
1工事につき約6日間程度、バルコニーに出られない期間があります(天候などにより変動有)。施工範囲や建物の構造により詳細は異なりますが、主な使用制限状況は以下のようになります。
- 壁面洗浄時
洗浄中は窓を閉め施錠を行う必要があります。また洗浄を行っている下の階にも洗浄水が飛散するため、バルコニーの使用ができません。 - 補修作業時
作業員がバルコニーに出入りし、作業を行いますので、洗濯物は干せません。また、作業の内容によっては下階も使用ができなくなります。 - 壁面塗装時
サッシをビニール養生し開閉ができなくなるため、終日バルコニーへの出入りができなくなります。 - バルコニー防水時
床面に施工された防水材が乾燥し、歩けるようになるまでは、出入りができなくなります。
窓の網戸はどうすればよいか教えてください
窓まわりのシーリング工事と、塗装工事の汚れ防止カバーかけを行う際に、網戸があると作業ができません。保管用ビニールを配布致しますので、取り外した網戸を入れて室内で保管していただきます。
エアコンは通常通り使用可能か教えてください
バルコニー床防水工事時は、室外機からの排水が施工中の床に流れると再度やり直しとなってしまう為、エアコンの使用を一時的に止めていただく事があります。また、室外機とエアコンをつなぐホース(冷媒管)が短く、工事に差し障りがある場合は室外機を取外しさせて頂く可能性があります。足場組立て完了後に各戸の状況を確認し個別にご連絡を致します。
溶剤などの成分表を確認できるか教えてください
成分表の一覧は、現場事務所に保管してありますので閲覧ご希望の場合はお気軽にお申し付けください。
工事の音について教えてください
足場の組立や解体時、外壁補修工事などの際にドリルで壁に穴を開ける音など、工事全体の中で一定の騒音を伴う事は避けられません。なお、騒音が出る工事は事前に告知致します。
作業時間を教えてください
日曜・祝祭日を除く8:30から17:30の時間帯で実施します(施工物件により変動があります)。スケジュールの都合や天候による日程変更などで休日や時間外に対応する場合は掲示板等で事前にお知らせ致します。
作業の日時は事前に知らせてもらえるか教えてください
工事に該当する住戸や階数の居住者様へ、エントランス掲示板やお知らせの文書投函等で詳細な日程をお知らせ致します。
工事中、駐輪場・駐車場は通常通り使用できるか教えてください
建物の形状などにより、足場設置に伴い使用できなくなる場合がございます。なお、駐車できなくなった車両は工事期間中、弊社が確保した近隣の外部駐車場のご利用をお願いしております。
施工に関するご質問
工事の種類について教えてください
- 共通仮設工事
現場事務所や資材倉庫・関係者用仮設トイレなどの設置工事を指します。 - 直接仮設工事
外壁修繕や塗装用の足場、養生シートの設置・解体・撤去などの工事を指します。 - 外壁修繕工事
外壁およびタイルのひび割れなどの劣化箇所の補修、壁面洗浄・塗装、タイル張替え、サッシまわりのシーリング材の取替などを行います。 - 防水工事
屋上、バルコニー、共用階段、共用廊下などの床を防水します。 - 鉄部塗装工事とは何か教えてください
玄関扉枠やメーターボックス扉、機械式駐車場など共用部分の鉄部を塗装します。
共有部工事は具体的に何をするのか教えてください
集会所やエントランス部分など共用部分のクロスや塗装などの工事を行います。また、エントランスのオートロック化やスロープを備えたバリアフリー化、耐震化やモダンなデザインにリニューアルするなど、建物の価値と居住者様の満足度と安全性を高めるリニューアル工事も行うことができます。
給排水設備の状況を知るための検査について教えてください
給排水管の耐用年数はおおよそ20~30年程です。内視鏡検査や超音波検査、X線検査などさまざまな機器を用いて管内部の調査を行います。
また、必要に応じて配管の一部を切り取る抜管検査もあります。なお、各戸までの配管は、共用部となるため大規模修繕工事で対応しますが、専有部となる各居室内の給水設備は区分所有者ごとの工事となります。
足場の設置・解体にあたって居住者に危険があるか教えてください
足場設置・解体作業では作業スペース(立入禁止区域)と安全地帯を明確に分け、作業スペース周辺にガードマンを配置の上通行誘導を行い、工事用車輌の出入りは、時間帯や場所を設定します。さらに、建物や周辺環境を考慮した安全対策を行います。
足場設置後は建物出入口や駐車場周辺など、落下物の危険がある場合は頭上養生を行うほか、立入禁止などの看板を設置します。
竣工後に関するご質問
竣工後の流れについて教えてください
竣工後の各点検のタイミング(工事請負契約の際に、保証年数に応じた定期点検のタイミングを決めます)で施工箇所の点検を行います。また、各戸のバルコニーは、不良箇所が無いかどうかをチェック(点検アンケート配布)してもらいます。共用部、専用部に不良箇所が見られた場合、保証条件に応じて修復を行います。
工事に関して貰える資料について教えてください
事請負契約書・竣工届・完成工事引渡書・工事費内訳書・工事費精算書・保証書・専門工事会社およびメーカー一覧・図面・仕様書・施工画像など今後の大規模修繕工事に必要な資料をご提出いたします。
工事の保証年数について教えてください
材料や施工仕様により差がありますが、一般的な保証期間は下記のとおりです。(施工物件により変動する場合があります)
- 躯体補修工事:5年間
- 壁面塗装工事:5~7年間
- バルコニー防水工事:5年間
- 屋上防水工事:10年間
- 開放廊下防水工事:5年間
- 鉄部塗装工事:1~2年間
- シーリング工事:5年間
なお、災害等施工に起因しない事由による上記現象は、施工業者は保証を免責されます。
竣工後のアフターフォローについて教えてください
アフターメンテナンス専門部署が末永くお客様のフォローを行っております。お困りの際は何なりとご連絡ください。